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しおにくが綴る「推さ日記」第3回:推し上手は推され上手になれるのか?(『Idol Manager』)


前回のNFTネタから打って変わって、今回のお題は、アイドル(事務所)マネジメントゲーム。しかし、しおにく氏にとっては(関連書籍を出しているほどお得意な)ブロックチェーン方面以上に詳しいのが、このアイドル。この手のゲームをレビューさせたらたぶん日本一だろう氏のほとばしる想いを、ぜひご覧ください。

タイトル:『Idol Manager』
パブリッシャー:PLAYSM
デベロッパー:Glitch Pitch
対応機種:PC(Steam)、Nintendo Switch


 今回は予告どおりゲームレビューです! 世の中にアイドルをプロデュースするという謳い文句で、その実はカードコレクションゲームだったり音ゲーだったりするものが多いのですが、今回レビューする『Idol Manager』は正真正銘、アイドル事務所を経営するシミュレーションゲームです。「推す」とはどういうことかを突き詰めるには、推される側、推されるアイドルを生み出す側の模索も必要。まったくもってこの「推さ日記」に相応しいタイトルといえます。

うす、自分語りいいスか?

 レビューの前に、ぼくがどれだけ普段からアイドルにぶっこんでいるか、少しだけ話させてください。

 まず、自分の脳内に5つの推し箱があります。もうそこからして独自概念なので理解を超えてしまった読者がいらっしゃったら申し訳ないんですが。
 それぞれ「ライブアイドル(かつては地下アイドルとも)」「アイドル(地上波の番組に出演したらここ)」「声優」「タレント」「女優」という箱です。それぞれ推しが入っているんですね。推しが卒業や引退をしてしまうとその箱が空くので新しく推しが入ったり、あるいはライブアイドルからアイドルへ、さらにタレントへ移行したりします。

 その中でも特にライブアイドルやアイドルへの投資はアツい。当然ライブへ行くだけでなく、日頃のSNSや動画配信・出演番組チェックは欠かせません。でもこれくらいはファンなら大抵やっていること。ネットが発達した現代では、推しが輝くメディアもそれだけ多いのです。

 例えばスマホゲーム。国民的アイドルグループを題材にしたソーシャルゲームで、リアルに会えるイベントへの参加権が景品となっているものがあります。景品の懸かったイベントで、推しメンをセレクトして札束で叩き合うような課金合戦を乗り越え1位(全国4位)を獲り、リアルイベント最前席ド真ん中を獲得。さすがに疲弊したので以降同様のイベントでは日和って20位キープくらいに落ち着きましたが、おそらく通算では知事選挙の供託金くらいの金額が軽く消えています。

 投げ銭やギフトアイテムが贈れるライブ配信では、終盤に投げ銭上位者の名前が読み上げられたりします。名前を呼ばれたいがために、10,000G(あえて円換算はしません)のギフトをドン!ドン!と贈る。下馬評によると、アプリのスパチャ系はApple/Googleの手数料を引かれ、配信会社に引かれ、事務所の取り分もありつつ、アイドル本人に渡る金額はたった数%とか……。そんなの関係ねぇ!

 そう。論理で説明できるものではないんです。いわゆる「厄介」や「最前管理」までは行かずとも、自分の流儀に反しない限界までは推す。

 さすがにやっちまったかな、と思ったのは推しメン宛てに都内某球場でのコンサートに作家名(=本名)でフラスタを贈ったときです。テレビ局や雑誌社といった名だたる著名企業を差し置いて、芸能人や国際的なアスリートの真横に堂々と並べられてしまいました。これは完全にやらかしだろ。

 まだ全国区ではないアイドルのライブにも足を運びます。チェキ列に並びながら、今後メジャーになっていくにしたがって剥がされるまでの時間が短くなっていったりするのだろうなぁなんてことを思ったり、推しのグループが地上波テレビ番組に徐々に出演するようになり「おれの目も確かなもんだろ?」と一人悦に入ることも。

 そんなことを会う人会う人に話すので、いつからか「しおにくさん、ご自身でアイドルプロデュースしたらどうですか?」と言われることが多くなりました。本当に言われる。

 違うんじゃよ。アイドルについては推したいのであってタレントマネジメントのビジネスを仕事としてできるかどうかは別の話なんじゃよ。やったところで、後方彼氏面の腕組みメンタル止まりです。わけわからない比喩ですみません!

 けれど、ゲーム内でプロデュースするなら話は別。アイドルの体調管理、プロモーション・イメージ戦略、スタッフへの采配、資金のやり繰り、すべてゲーム用のパラメータとして存在するならば、それらを綿密なプレイで支配すればよい。

次ページ 『Idol Manager』、いい名前のゲームじゃないですか。秋●康に……俺はなる!

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