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ゲームを研究する!?『ゲームスタディーズ入門 ―文化のなかのゲーム』書籍紹介

『ゲームスタディーズ入門 ―文化のなかのゲーム』(フランス・マウラ 著 / 小林信重 訳 / 合同会社ニューゲームズオーダー 刊)が3月に刊行されました。
「デジタルゲーム」に注目する新しい研究分野「ゲームスタディーズ」の教科書です。

2008年にイギリス・アメリカ・インドで刊行された『An Introduction to Game Studies ― Games in Culture』(Frans Mäyrä著)の日本語版なのですが、訳者の小林信重先生(東北学院大学 准教授)に贈っていただいてから、この紹介記事を書くまで時間が掛かってしまい申し訳なく思っています。
時間がかかった理由は単純で、1974年生まれの身には本書で紹介されているゲーム作品のいくつもがリアルタイム世代で、当時を思い出すために検索しながら関連記事などに寄り道しながらだったからです。
このこと自体も「ゲームスタディーズ」が新しい分野なのを物語っています。

デジタルゲーム概論から研究のアプローチまで網羅

大学の講義では初めに学部学科の内容を俯瞰する「概論」の講義があってから専門的な科目に進んでいったりするのですが、本書も似たような構成になっています。
デジタルゲーム研究の概論(1〜3章)、各時代のデジタルゲームの代表事例と特徴(3章途中から7章)と進み、最後に研究としての問いの立て方と切り口(8章)について解説されています。

本書の教科書らしさの一つは、各章の終わりにある理解を確認する課題です。
この課題も読み解きながらゲームスタディーズに興味を持ったら、合わせてオススなのが次の1冊です。

『デジタルゲーム研究入門』もオススメ

『デジタルゲーム研究入門 レポート作成から論文執筆まで』(小林信重 編著 / ミネルヴァ書房)は2020年に刊行された書籍です。
こちらも小林先生が編著をされていて、デジタルゲーム研究に興味がある方の入り口に最適です。


研究者が書く「論文」には、書き方のフォーマット(お作法)があり、このお作法を知っていると専門外の分野の論文も大意を掴めるのですが、これについて本書の第2章「研究の進め方・準備編」が詳しいです。
国内のデジタルゲームを専門にした学会として「日本デジタルゲーム学会」がありますが、そちらの論文誌・発表要旨集などを読み解くのにも、ここに書かれているノウハウがそのまま使えます。
そういった所までおさえた本書は「研究」に興味を持たれた方の最初の一冊です。

本書については以下でも紹介しています。

「ゲームスタディーズ(デジタルゲーム研究)」について興味を持たれた方は、小林先生のサイトへどうぞ。

(中林 寿文)

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