紀元前4世紀の古代ギリシャの頃から、宇宙は地球を中心に回っていると考える「天動説」が、当時の観測技術や、それらに基づいて構築された理論により矛盾が”解決”されていったこともあり長く信じられていました。
これに対し、ポーランドのニコラウス・コペルニクスは1543年に出版した『天体の回転について』で、地球や他の惑星は太陽の周りを回っているという現在の宇宙観「天動説」を提唱しました。この書はローマ教皇にも献呈されました。
ところが、天動説の正しさを観測を積み重ねて示したイタリアのガリレオ・ガリレイは1616年と1633年の2度もローマ教皇庁検邪聖省による異端審問(宗教裁判)にかけられました(ちなみにガリレオ裁判の誤りが認められ名誉回復したのは1992年のことです)。
その後、デンマークのティコ・ブラーエ、ドイツのヨハネス・ケプラー、イングランドのアイザック・ニュートンなどの貢献により、地動説が支持されるようになっていきました。

このような時代背景をもとに魚豊先生によりフィクションとして描かれた『チ。-地球の運動について-』は現在アニメーション放映中ですが、その名場面を再現した体験型展示、映像などで、楽しみながら宇宙を探求できる特別展「チ。 ―地球の運動について― 地球(いわ)が動く」が、東京お台場の日本科学未来館で開催中です。
活版印刷の体験も
コペルニクスが活躍した16世紀は、ドイツのマルティン・ルターの批判をきっかけとした宗教改革の真っ只中で、その理念の拡大にはドイツのヨハネス・グーテンベルクが考案した印活版刷技術が大きな役割を果たしましたが、この活版印刷は地動説の普及にも貢献しています。
本展では、この活版印刷を実際に体験できます。
見学情報
会場: 日本科学未来館 (東京・お台場)
会期: 2025年3月14日(金)~6月1日(日)
公式サイト: https://chi-special-exhibition.jp/
(中林寿文 記)
