
当落画面が真っ白になった瞬間、私の推し活は開戦した――最初から心臓が持たない
落選。
その二文字が表示された瞬間、車内の音がいっせいに牙をむいた。吊り革のきしみ、靴底の擦れる音、誰かの笑い声。全部が私の耳の奥に突き刺さって、呼吸が浅くなる。
スマホの画面は明るすぎて、白い。TicketLotの当落ページが、真冬の蛍光灯みたいに眩しい。私は親指で何度も更新して、何度も同じ結果を見た。落選。落選。落選。
「……はは」
笑えたふりをして、失敗した。喉がひゅっと鳴って、胸の奥がきゅうっと縮む。隣の人の香水が濃い。背中のリュックが押してくる。私は足元を見つめ、耳栓ケースを握りしめた。私は人混みの音が刺さりやすくて、現場でも移動中でも、耳栓は“最後の切り札”だ。
でも、使うのはまだ早い気がして、指が止まる。耳を塞ぐとアナウンスが聞き取りにくくなるし、推しの声が遠のくのが怖い。周りに『大げさ』だと思われたくない、という変な意地もある。
駅に着く頃には、心臓が普段の倍の速さで働いていた。改札を抜ける。人の波に押される。私は最前列に立てない。推しのことが好きなのに、好きな場所に辿り着けない。その事実が、今日も私を小さくする。
家に帰り、靴も脱ぎきらないままMurmurを開いた。
私のMurmurの表示名は、hiyori-note。仕事で校正をしているから、短いメモみたいな名前にした。
タイムラインは、同じ二文字で埋まっていた。
「当選」
「落選」
「当選! 泣いた!」
「落選……もう無理……」
胸がざわつく。私だけじゃない。救われる、はずなのに、逆に息が詰まる。言葉が多い。感情が多い。画面から音が出ていないのに、耳が痛い。
私は指を止めた。何か書いた方がいい? 書かなくていい? でも、何かを言わないと置いていかれる気がする。自分が、透明になる気がする。
……私は、短く打った。
「落選。でも、宵玻璃(よいは)の歌は今日も残ってる。生き延びる」
送信。すぐに、通知が増えた。
誰かがRPした。誰かが引用した。
引用の文面は、丁寧な口調だった。
「“生き延びる”とか大げさ。空気読んで。今は当選した人を祝う流れですよね?」
私の指が冷たくなる。言い返せない。訂正もできない。画面の中で、私の言葉だけが浮いて、針みたいに刺さっている。
通知がまた鳴った。引用が増える。知らない人の“正しさ”が積み上がる。胸の奥がざわついて、呼吸がさらに浅くなる。
ここで倒れたら、何も守れない。私は耳栓を取り出し、やっと耳に入れた。世界が少しだけ遠のく。でも、画面の白さは遠のかない。
そして、DMのアイコンが赤く光った。
見知らぬアカウント。名前も、アイコンも、記号みたいだった。
「あなた、邪魔。動くな。」
私は削除ボタンに指を置いた。
押せば、何も見えなくなる。
でも、押したら――私は、ほんとに透明になる。
指が、動かない。
「最前列に立てない私が、推し活戦線の司令塔になった理由――当落・遠征・炎上の全部を『好き』に変えるまで」
※本作品はAI生成本文を含みます
作者紹介

ヒトカケラ。
好きを少しずつ詰め込んだお話を、AIにも手伝ってもらいながら書いてるので、読んでもらえるとうれしいです。
公式サイト:https://hitokakera.com/
作者X:https://x.com/hitokakeranovel










