特集 ゲーム

【コラム】日本と世界の間にあるもの~ゲームは誰のためのもの?

 推しinfoでは毎年、年始に「女性向けアプリ市場の振り返り」というコラムを掲載していました(2021年分2022年分)。今年は趣向を変えて、ゲーム業界全般の話……中でも日本と海外での、ゲームに関するある「認識の違い」を主題としたコラムとなります。
 今回女性向けに特化した話題はありませんが、当メディアの人気連載「推さ日記」の第7回で、しおにく氏が昨今の推し事情を(AGF 2023を通して)語ってくれていますので、ぜひ併せてご確認ください。

ゲーム史に残るビッグイヤー「2023」に明確になったこと

 2023年は、ゲーム史に刻まれるだろう(ゲーマーにとっての)ビッグイヤーとなりました。
「Baldur’s Gate 3」「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」「Alan Wake 2」「Marvel’s Spider-Man 2」「Hogwarts Legacy」などの数年に一度の傑作、例年であれば「The Game Awards」等各種ゲーム賞で大賞を獲っただろうクラスの作品が、この1年の間に立て続けにリリースされたわけで、世界中のゲーム好きの睡眠時間がたっぷり削られたと思われます。
 かくいう筆者も、上記に加えて「Diablo IV」「Starfield」、DLCとしては「Cyberpunk 2077: Phantom Liberty」など、まぁ当たり外れはありつつも、睡眠不足な日々を過ごすことができました。

 また、数年前からの傾向――コンシューマゲーム機、中でもPlayStationの存在感が薄れ、代わりにゲームプラットフォームとしてのPCの存在感が増す――を、ハッキリと意識させられた年だったともいえるのではないでしょうか。
 先ほど挙げたゲームでは、ティアキンはNintendo Switchで遊ぶとして、それ以外でPCで遊べないのは「Marvel’s Spider-Man 2」のみ。逆にPlayStation 5では、2023年の最大の注目作だった「Starfield」は未だアナウンスされておらず、The Game Awards 2023で大賞にあたるGOTYを獲ったBaldur’s Gate 3もPC版に1ヶ月遅れてのリリース。
 とくに若者におけるコンシューマゲーム機離れは、FPS&ゲーム実況が隆盛した頃からのことではありますが(いわゆる次世代機が転売問題でなかなか手に入らないという状況が続いたうえ、「フォートナイト」も「荒野行動」も憧れの実況者たちはみんなPCでプレイしてますからね)、その傾向がゲーマー全体に広がった、ように感じています。

「おじさんがゲームを遊ぶのは大変」という違和感と、その正体

「ゲーム開発者の就業とキャリア形成 2022」(一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会)によると、ゲーム開発者を対象に行ったアンケートの回答者の平均年齢は36.3歳。男性だけで見ると42.4歳。さらに部長クラス、執行役員クラスの男性比率は100%(経営者は59%)なので、ざっくり、日本のゲーム会社の上層部は大抵おじさん(30代後半以上の男性)といえなくなさそうです。
 おじさん……が悪いわけではもちろんありませんが、筆者が普段会話をする「ゲーム業界人」の平均年齢が高めというのを念頭に置いて、以下をお読みください。

 ところで皆さんは、先ほど挙げたタイトルのうち、何本くらいプレイされたでしょうか?
 基本的には「The Game Awards」にノミネートされるなど、世界的に話題になったタイトルからいくつか挙げていますが、その「世界で話題になる」と、「日本で話題になる」には、結構な差があるように感じています。

 まぁこれはゲームに限った話ではなく、音楽でもドラマでも、国ごとの人気作に、ある程度差があるのは当然。……ですが、音楽やドラマの制作に”携わっている”人であれば、そのジャンルの世界的なヒット作は、チェックするのではないでしょうか。ところがいわゆる「ゲーム業界人」と話していても、上記のタイトルのプレイ数は良くて半分、さすがにティアキンこそプレイ率が高いものの、それ以外は、「まだ」という回答が多くありました。
 むしろ逆に「いつそんな時間あるんですか?」「大変じゃないですか?」と言われることもしばしばあり、答えに窮して……もっといえば、違和感を覚えていました。ゲーム開発者が世界で話題のゲームを遊ぶことって、大変なんだろうか? と。

 しかし先日、ある人の言葉がきっかけで、その違和感の正体がわかってきました。それはこんな一言です。
 「でもBaldur’s Gate 3って、難しいですよね」。

 難しい? いや、普通の大人なら全然……。いや、そうか、日本人にとって、「ゲーム」は「子供が遊ぶもの」だからそう感じるんだ。
 そして「子供のためのゲーム」を、「おじさんがめちゃくちゃ遊んでいる」から、不思議がられていたわけだ!

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