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「ゲームシナリオライターなのに、ゲーム作りに参加してしまった件」第6回 真面目に議論しているだけなのに、面白すぎた○○の件

1. 魅力的なキャラ作りは「憧れ性」と「共感性」から

私の苦手なジャンル。
私の苦手なタイプの主人公。

どういうわけか推しノベル『B.I.N.D.』(バインド)は私の苦手なものばかりで形成されてしまった。
だが前々回の記事でも話したように、苦手なものは勉強すればいい
当然私は、主人公ローザのクール属性を理解すべく、情報収集をはじめた。

そもそも、乙女ゲームではクール属性の主人公というのが動かしづらい。
ただクールなエリートキャラでは、プレイヤーに受け入れられないどころか、攻略キャラとの恋愛も難しい(恋に落ちる様子が想像できない)。

私は魅力的なキャラクターに必要なのは「憧れ性」と「共感性」だと思っている。

分かりやすく言うと、憧れ性というのは
「こんな子になれたらいいな!」と主人公やヒーローに抱く、自分にはないものに対する憧れ
共感性というのは
「分かる! 私もそうだもん!」と、自分が持っているものと相手のものを重ねること

このふたつが成り立つことで、そのキャラクターは強い個性を持つようになる。

その法則で考えた時。
今のローザに足りないのは、プレイヤーが感情移入できる「共感性」である。
ローザの強い正義感やエリート思考は、「憧れ性」。

そんな彼女に持たせる「共感性」は、ズバリ「悩み」だ。

表面ではクールな強い女性ではあるが、彼女にも普通の女の子と同じような、些細な悩みから大きな悩みまでを持たせることにした。それはすなわち彼女の弱さだ。
ひとりでは乗り越えられないような壁に突き当たった時に、他者の力が必要になる。
その問題を二人で乗り越えた時に「絆」や「恋」が生まれるものだ。

これはバインドに限ったことではなく、完璧なだけのキャラクター同士の恋愛は面白さに欠ける。どこか不完全で、弱さや迷いがあるからこそ、そこに描かれる恋愛模様はドラマティックに映るものだ。

バインドの主人公、ローザの持つ「共感性」
私が、シナリオを書くうえでこだわったポイントのひとつでもある。
彼女がどんな悩みを抱き、二人の男性とどんな恋をするのか。本編で楽しんでいただきたい。

乙女ゲームはビジュアルが命! キャラデザに魂を込めろ!

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