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「推さ日記」第5回『親子三代にわたって推されるということ』(『ウルトラ怪獣モンスターファーム』ほか)


しおにく氏のアイドル愛が伝わる「第4回」から半年、またもや深い愛を感じる日記が届きました。本題は『ウルトラ怪獣モンスターファーム』のはずですが……まぁウルトラシリーズといえば、第二次ベビーブーム世代な御仁なら誰しも通った道ですから、人一倍“推し“の強い氏が深い愛着を抱くのも当然。ともあれ、ヒートアップした氏による濃ゆい話が続きますが、それが当連載のウリですのでぜひご笑納を。

ウルトラマンブレーザーのここがすごい!

 少し間が空いてしまいました。お元気ですか、しおにくです。

 今回ちょっと困ってしまったんですよね。ゲームレビューとして『ウルトラ怪獣モンスターファーム』を取り上げたかったのですが、その前提として、ウルトラマンやそのシリーズについてどんな話を書けばこの「推しinfo」の読者に刺さりがよいかと……。

 そんな迷いを抱えていたら、従来のウルトラマンを知っていようが知っていまいが、これはもう有無を言わさず観ていただくしかない、という新シリーズ『ウルトラマンブレーザー』が放映開始になりました。その1話目がYouTubeで公開されています。

『ウルトラマンブレーザー』第1話「ファースト・ウェイブ」-公式配信-

 まず驚かされたのが冒頭。輸送機の中で降下作戦の開始を待つ特殊部隊の隊員たちの会話なのですが、画が暗い! なんというか、こういったファンタジー作品はパッキリとした明るい日常描写から怪獣という非日常が現れる違和感をもって、まず「私たちの住む世界とは違う劇中世界」を示すものだという先入観があったので、ミリタリー映画のような導入部は意外だったのです。

 輸送機の中で何か考え事をしている隊長を奥に、不安になる新人隊員が作戦に慣れていると思しき先輩からのアドバイスを受けます。そして今回の作戦の説明が新人の復唱により行われるのですが、こういう説明セリフってつまらないものになりがちなところ、緊迫感のある音楽もあってこれから何が起こるんだ、という期待感が湧きおこります! この時点ですでに物語世界へとグイッと引き込まれているんですね。

 降下するシーンでは、隊長の背越しに夜景が俯瞰で映し出されることで、すでに街が怪獣の侵攻によって危機に晒されていることがわかります。燃える街にあとわずか!!!(←突然『帰ってきたウルトラマン』の主題歌を思い出した)

 隊長はじめ降下する隊員たちの装備もイカしてます! 両腕に推進機がついているタイプで、従来の作品によく見られるリュックサックに翼が生えたようなジェットパックではありません。こういった細かい箇所で「見たことのない科学」が顔を覗かせるあたり、元祖ウルトラマンが「空想科学シリーズ」であったことを思い出させてくれます。

 そして夜空をミサイルが横切り、怪獣を攻撃!!! 航空機の飛来音もまさにウルトラ作品を象徴するものです! そして特撮ならではの画角! ビルの内側から窓越しに巨大な生物が横切るカット。これほんと好きなんですよね。もし怪獣が都市を歩いていたら、避難もそこそこに怖いもの見たさでビルの窓を向いてまじまじと見ちゃうと思うんですよ。こういうザ・怪獣映画って感じのシーンが入るとアガりますね! そしてついに池袋の街を火の海にしている怪獣「バザンガ」の姿が全身ババーンと映し出されます!!! いよッ! 待ってましたァ! シルエットの鋭さもあってなかなか凶悪そうな怪獣です!

 リポ―タ―のセリフに「怪獣被害が頻発するこの地球に巨大な宇宙怪獣まで現れ」とあり、バザンガの前にも怪獣が現れていることが示唆されます。そして宇宙怪獣であると言及されているところから、どうやら怪獣は地球産だけでなさそうだということや、宇宙由来の生物がいるということをこの世界の人類は知覚しているということまでわかります。このセリフだけで特撮ファンを「わからせ」に来る。最高ですね!

 続いて、防衛隊がオフィスビル内に設置したであろう指令所が映り、航空機による爆弾投下シークエンス。先程はミサイルだったのですが、今回は爆弾。使われる兵器によってしっかり描写が変えてあるわけですよ。いわゆる「やったか!?(やってない)」のシーンなんですが、爆弾は効かず、バザンガが悠々と歩く姿が映し出されます。

 それに、バザンガのアップで顔が映るんですが、首元のディテールを見てください! 造形や塗装がすごい細かいんです。特撮怪獣といえば着ぐるみではあるんですが、今回の怪獣の質感にはビックリです。

 我々オタクはすぐ「クオリティが高い」なんて言ってしまいがちですが、その一言で納めてしまうにはもったいない!

 特殊部隊が二手に分かれて作戦ポイントに着地。特殊部隊は第一特殊機動団と呼ばれています。降下とともに航空部隊への攻撃中止の連絡が行われます。描写が細かい! 特殊部隊が地表で活動しているのに爆撃してしまったら大変ですからね。こういったところからもこのシーンでのリアル志向がうかがえます。

 屋上からビル内に突入する特殊部隊……ですが、何か見たことあるぞ!? 親の顔よりよく見たサンシャインシティホールのあの階段じゃぁないか!!!

 そうなんです。特殊部隊が降り立ったのは、奇しくもこの連載で前回取り上げたAGFの開催場所、推しinfo読者ならあれやこれやのイベントで年に何回も足を踏み入れるであろう(?)あの場所です。ぼくはアイドルのチェキ会でお世話になっております……。

 ウルトラシリーズのファンならば、毎年開催されている『ウルトラヒーローズEXPO サマーフェスティバル IN池袋・サンシャインシティ』というイベントがあるのをご存じかと思うのですが、ここはいわばウルトラの「聖地」。これが劇中でも使用されたわけです。まさに聖地in聖地。自分でも何を言ってるのかわかりませんが、感慨深いですね。

 ビルを抜けてコンコースの作戦地点まで辿り着いた特殊部隊。周囲の惨状を目にした隊長が「これはまずいな…」というところでCMが入ります。いや~、なんちゅうもんを見せつけてくれるんじゃ……。ですがこの調子で解説を続けたら、ウルトラマンブレーザー1話のレビューだけで記事が終わってしまいますね……。

 ということで、果たして作戦は成功するのか、そしてウルトラマンはどう登場するのか……!? ウルトラマンと怪獣のバトルシーンは、長年ウルトラマニアをやっていても目を見張るもので、放映直後にTwitterトレンド1位になったのも頷けます。

 全カットにちりばめられた珠玉の特撮技法と、描写一つ一つに込められた世界観、まるまる一話分を「作戦」の描写に充当した大胆な作劇の試み、さらにYouTube配信が二日間で300万再生を突破するという快挙を成し遂げた映像を、その目でぜひお確かめください!

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