
バックヤードへの招待状――嬉しいのに、条件が重い
バックヤード入口は、ステージより明るかった。
明るさは安心のはずなのに、私は怖い。スタッフの視線。ルールの線。越えたら終わりの線。
榊さんの付箋を握りしめ、私は通路側へにじり寄った。にじり寄る。走らない。騒がない。現場は最後の砦。
スタッフがすぐに手を上げた。
「関係者以外立ち入りできません」
当然だ。だから、さやがいる。運用担当。
さやは少し離れた場所にいて、私の動きを見ていた。オンラインじゃない。今日は現場にいる。黒い服、動きやすい靴。現場の人の顔。
さやがスタッフに近づき、声を荒げず、短く言う。
「事前連絡があります。広報担当の方から」
スタッフが困った顔をする。困った顔が増えると、列が荒れる。私は息を数える。
そこへ、ユズが割り込んだ。
「私が渡します。私の方が、本人に近いので」
ユズの声は丁寧で、笑っている。でも、目は笑っていない。
私の喉が凍った。
ユズが“本人に近い”と言った。
近い。それは、羨ましさじゃない。危うさだ。境界線が溶ける危うさ。
さやが短く止める。
「あなたに渡す権限はない。今は広報担当を通す」
ユズは笑顔のまま、少しだけ声を落とした。
「皆さんのために言ってるんです。新規が変なことをすると、推しが壊れるから」
また、“皆さんのために”。
その言葉はいつも、私の胸を締める。正しさの顔。支配の匂い。
榊さんが現れたのは、その瞬間だった。
榊さんはユズと私たちの間に入るように立ち、短く言った。
「受け渡しは、こちらで」
定型文みたいな硬さ。でも、その硬さは盾だ。榊さんも、守っている。
ユズが唇を噛んだ。
「……迷惑なんです。あなた達の企画。推しの足を引っ張った」
私の胸が痛んだ。迷惑。足を引っ張る。私は最前列に立てない。その分、足を引っ張っている気がする。
でも。
さやが、私の肩に軽く触れた。大丈夫、と言う代わりの触れ方。
榊さんが私に視線を送る。
「今、渡せる? 短く。騒がないで」
私は手作りの一冊をバッグから取り出した。紙の重みが、私たちの48時間だ。
ユズの視線が刺さる。
「……答え合わせ、だね」
ユズが小さく言った。ほとんど独り言。
「あなたが間違ってるか、私が正しいか」
正しいか、間違ってるか。
推し活が、いつから採点になったんだろう。
榊さんが私の手から一冊を受け取った。
指が震えた。渡した。渡した。届く。届くはず。
その瞬間、ユズが崩れるように言った。
「……私、怖かった」
声が、震えていた。
答え合わせは、まだ終わらない。
「最前列に立てない私が、推し活戦線の司令塔になった理由――当落・遠征・炎上の全部を『好き』に変えるまで」
※本作品はAI生成本文を含みます
作者紹介

ヒトカケラ。
好きを少しずつ詰め込んだお話を、AIにも手伝ってもらいながら書いてるので、読んでもらえるとうれしいです。
公式サイト:https://hitokakera.com/
作者X:https://x.com/hitokakeranovel









