連載

【推しノベル】「最前列じゃなくても」第21話

バックヤードへの招待状――嬉しいのに、条件が重い

バックヤード入口は、ステージより明るかった。
 明るさは安心のはずなのに、私は怖い。スタッフの視線。ルールの線。越えたら終わりの線。

 榊さんの付箋を握りしめ、私は通路側へにじり寄った。にじり寄る。走らない。騒がない。現場は最後の砦。

 スタッフがすぐに手を上げた。
「関係者以外立ち入りできません」
 当然だ。だから、さやがいる。運用担当。

 さやは少し離れた場所にいて、私の動きを見ていた。オンラインじゃない。今日は現場にいる。黒い服、動きやすい靴。現場の人の顔。

 さやがスタッフに近づき、声を荒げず、短く言う。
「事前連絡があります。広報担当の方から」
 スタッフが困った顔をする。困った顔が増えると、列が荒れる。私は息を数える。

 そこへ、ユズが割り込んだ。
「私が渡します。私の方が、本人に近いので」
 ユズの声は丁寧で、笑っている。でも、目は笑っていない。

 私の喉が凍った。
 ユズが“本人に近い”と言った。
 近い。それは、羨ましさじゃない。危うさだ。境界線が溶ける危うさ。

 さやが短く止める。
「あなたに渡す権限はない。今は広報担当を通す」
 ユズは笑顔のまま、少しだけ声を落とした。
「皆さんのために言ってるんです。新規が変なことをすると、推しが壊れるから」

 また、“皆さんのために”。
 その言葉はいつも、私の胸を締める。正しさの顔。支配の匂い。

 榊さんが現れたのは、その瞬間だった。
 榊さんはユズと私たちの間に入るように立ち、短く言った。
「受け渡しは、こちらで」
 定型文みたいな硬さ。でも、その硬さは盾だ。榊さんも、守っている。

 ユズが唇を噛んだ。
「……迷惑なんです。あなた達の企画。推しの足を引っ張った」
 私の胸が痛んだ。迷惑。足を引っ張る。私は最前列に立てない。その分、足を引っ張っている気がする。

 でも。
 さやが、私の肩に軽く触れた。大丈夫、と言う代わりの触れ方。

 榊さんが私に視線を送る。
「今、渡せる? 短く。騒がないで」
 私は手作りの一冊をバッグから取り出した。紙の重みが、私たちの48時間だ。

 ユズの視線が刺さる。
「……答え合わせ、だね」
 ユズが小さく言った。ほとんど独り言。
「あなたが間違ってるか、私が正しいか」

 正しいか、間違ってるか。
 推し活が、いつから採点になったんだろう。

 榊さんが私の手から一冊を受け取った。
 指が震えた。渡した。渡した。届く。届くはず。

 その瞬間、ユズが崩れるように言った。
「……私、怖かった」

 声が、震えていた。
 答え合わせは、まだ終わらない。

「最前列に立てない私が、推し活戦線の司令塔になった理由――当落・遠征・炎上の全部を『好き』に変えるまで」

※本作品はAI生成本文を含みます

作者紹介

ヒトカケラ。

好きを少しずつ詰め込んだお話を、AIにも手伝ってもらいながら書いてるので、読んでもらえるとうれしいです。

公式サイト:https://hitokakera.com/
作者X:https://x.com/hitokakeranovel

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