連載

【推しノベル】「最前列じゃなくても」第23話

最後の一曲で、推しが私たちを見た――この夜は終わらない

最後の一曲。
 宵玻璃(よいは)はステージ中央で、少しだけ息を整えた。客席は静かだ。静かで、熱い。私は片耳の耳栓を外し、両耳で聴く準備をした。怖い。でも、今は受け取りたい。

「……最後に。少しだけ、読んでいい?」

 宵玻璃がそう言った瞬間、会場が息を呑んだ。
 読んでいい。何を。台本? 告知? それとも――。

 宵玻璃は、手元の紙を見た。
 榊さんが渡したはずの、私たちの一冊。ページは開かれていない。たぶん、抜き出した一節だけ。

 宵玻璃の声が、静かに響く。

「――最前列じゃなくても、届く」

 その一文を聴いた瞬間、私は息を失った。
 私の弱みが、推しの口から出た。私の骨格が、推しの声になった。

 会場のどこかで、誰かが泣いた。泣き声は大きくない。でも、涙の気配が広がる。
 宵玻璃は続けた。

「……無理しないで。ちゃんと帰って。――僕も、帰る場所を、守る」

 その言葉は、恋愛じゃない。生活の言葉だ。続けるための言葉だ。
 私は涙が出そうになって、でも泣くと息が乱れるから、笑った。笑って、涙が出た。

 曲が始まった。
 静かなイントロ。私の心臓が少しずつ落ち着く。音が怖い私にとって、静かな曲は救いだ。でも今日は、静かさだけじゃない。意味が救いだ。

 曲の最後、宵玻璃は短く言った。
「続けます」
 それだけ。詳細はない。約束の形だけがある。守るべき線を守ったまま、未来の扉だけ開けた。

 会場が揺れた。歓声は大きくならない。大きくしない。みんなが“運用”を知っている。静かに、でも確かに、熱が上がる。

 終演。
 私は足が震えた。人混みが怖い。でも、今日は逃げなくていい気がした。ミレイが腕を掴む。
「ひより、いける? 外、出よ」
「……うん。離脱ライン、守る」

 出口へ向かう途中、榊さんが私たちを見つけ、短く頷いた。
 ユズは少し離れた場所で、泣きながら笑っていた。距離を取っている。ちゃんと。

 外の空気は冷たい。
 私は深く息を吸った。耳が痛いほどの静寂。さっきまでの音が嘘みたいだ。
 でも、静寂の中で、スマホが震えた。

 DM。
 送り主の表示名は、見慣れない記号。
でも、本文は短い。

「あなたの言葉、届いた」

 私は画面を見つめ、指が震えた。
 次の扉が、ここにある。

「最前列に立てない私が、推し活戦線の司令塔になった理由――当落・遠征・炎上の全部を『好き』に変えるまで」

※本作品はAI生成本文を含みます

作者紹介

ヒトカケラ。

好きを少しずつ詰め込んだお話を、AIにも手伝ってもらいながら書いてるので、読んでもらえるとうれしいです。

公式サイト:https://hitokakera.com/
作者X:https://x.com/hitokakeranovel

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