
最後の一曲で、推しが私たちを見た――この夜は終わらない
最後の一曲。
宵玻璃(よいは)はステージ中央で、少しだけ息を整えた。客席は静かだ。静かで、熱い。私は片耳の耳栓を外し、両耳で聴く準備をした。怖い。でも、今は受け取りたい。
「……最後に。少しだけ、読んでいい?」
宵玻璃がそう言った瞬間、会場が息を呑んだ。
読んでいい。何を。台本? 告知? それとも――。
宵玻璃は、手元の紙を見た。
榊さんが渡したはずの、私たちの一冊。ページは開かれていない。たぶん、抜き出した一節だけ。
宵玻璃の声が、静かに響く。
「――最前列じゃなくても、届く」
その一文を聴いた瞬間、私は息を失った。
私の弱みが、推しの口から出た。私の骨格が、推しの声になった。
会場のどこかで、誰かが泣いた。泣き声は大きくない。でも、涙の気配が広がる。
宵玻璃は続けた。
「……無理しないで。ちゃんと帰って。――僕も、帰る場所を、守る」
その言葉は、恋愛じゃない。生活の言葉だ。続けるための言葉だ。
私は涙が出そうになって、でも泣くと息が乱れるから、笑った。笑って、涙が出た。
曲が始まった。
静かなイントロ。私の心臓が少しずつ落ち着く。音が怖い私にとって、静かな曲は救いだ。でも今日は、静かさだけじゃない。意味が救いだ。
曲の最後、宵玻璃は短く言った。
「続けます」
それだけ。詳細はない。約束の形だけがある。守るべき線を守ったまま、未来の扉だけ開けた。
会場が揺れた。歓声は大きくならない。大きくしない。みんなが“運用”を知っている。静かに、でも確かに、熱が上がる。
終演。
私は足が震えた。人混みが怖い。でも、今日は逃げなくていい気がした。ミレイが腕を掴む。
「ひより、いける? 外、出よ」
「……うん。離脱ライン、守る」
出口へ向かう途中、榊さんが私たちを見つけ、短く頷いた。
ユズは少し離れた場所で、泣きながら笑っていた。距離を取っている。ちゃんと。
外の空気は冷たい。
私は深く息を吸った。耳が痛いほどの静寂。さっきまでの音が嘘みたいだ。
でも、静寂の中で、スマホが震えた。
DM。
送り主の表示名は、見慣れない記号。
でも、本文は短い。
「あなたの言葉、届いた」
私は画面を見つめ、指が震えた。
次の扉が、ここにある。
「最前列に立てない私が、推し活戦線の司令塔になった理由――当落・遠征・炎上の全部を『好き』に変えるまで」
※本作品はAI生成本文を含みます
作者紹介

ヒトカケラ。
好きを少しずつ詰め込んだお話を、AIにも手伝ってもらいながら書いてるので、読んでもらえるとうれしいです。
公式サイト:https://hitokakera.com/
作者X:https://x.com/hitokakeranovel









