
私が炎上の中心になるなんて聞いてない――でも逃げたら推しが泣く
「落選」ではなく「追加販売開始」。
通知の文字が変わっただけで、私の心臓は別の音を出した。落選の底から、突然、梯子が降りてきたみたいに。
でも、梯子には釘が打ってある。
「見てる。帰れ」
あのDMの文面が、画面の裏側でまだ光っている。
私はスマホを握ったまま、駅前の光の洪水から少し外れた路地に逃げた。耳栓越しに、車の走行音が遠くなる。肩の力が抜ける。代わりに、胃が痛い。
ミレイが私の横で、スマホを斜めに持って周囲を確認した。
「追わない。探さない。今日は帰ろ。で、さやに共有」
「……うん」
広報担当――名乗り切らない榊さんは、私たちに深く頭を下げた。
「ごめんなさい。危険を感じるなら、無理しないで。でも、お願い。憶測を回さないで」
それだけ言って、雑踏に溶けた。
私はその背中を見送りながら、思った。
敵はファンじゃない。
じゃあ、敵は誰。
そして、私は何を守る。
帰宅してすぐ、さやのチャットにスクショを貼った。DMの文面、広報の言葉、TicketLotの通知。
さやは一分で返した。
「共有ありがとう。今夜は動かない。眠る。明日、やることを切る」
ミレイも追い打ちする。
「ひより、今夜は糖。明日が戦」
戦、という言葉に胸がざわついた。推し活を戦にしたくない。でも現実は、勝手に戦場になる。
私はメモ帳を開き、翌日のタスクを書いた。
・追加販売に申し込むか決める(締切確認)
・制限解除の申請(具体手順は書かない、相談する)
・DMの脅しの記録を整理
・ファン冊子計画の骨子作成
書いているうちに、少しだけ落ち着いた。弱みは、いつも私を遅くする。でも、遅いぶんだけ、私は整えられる。
そのとき、Murmurの通知がまた来た。
ユズの投稿が固定されている。
「皆さんへ。最近、危険な言葉や、過激な投稿が増えています。推しを守りたいなら、まず空気を整えましょう。新規の方は、焦らず見守るのが一番です」
私の名前は出ていない。でも、私のことだと分かる。空気。整える。見守る。
その言葉は、優しい形をして、私の息を奪う。
ミレイがチャットで叫んだ。
「は? 誰が空気の神様なん」
さやが短く返す。
「反応しない。燃料を足さない。やることは“推しに届く道を残す”」
推しに届く道。
私は、ノートに線を引いた。攻撃はしない。殴り返さない。でも、黙って消えない。
私は、追加販売の申込画面を開いた。
指が震える。耳栓の奥で心臓が鳴る。
それでも私は、チェックボックスにチェックを入れた。
送信。
送った瞬間、DMが来た。
「やっぱり動いた。じゃあ、次は“証拠”を出す」
私は、画面を閉じられなかった。
「最前列に立てない私が、推し活戦線の司令塔になった理由――当落・遠征・炎上の全部を『好き』に変えるまで」
※本作品はAI生成本文を含みます
作者紹介

ヒトカケラ。
好きを少しずつ詰め込んだお話を、AIにも手伝ってもらいながら書いてるので、読んでもらえるとうれしいです。
公式サイト:https://hitokakera.com/
作者X:https://x.com/hitokakeranovel










