
声が出ない私が、通話ボタンを押した――震えた『ありがとう』
現場前日。
私はミレイの部屋で、耳栓ケースを握りしめたまま、スマホを見つめていた。
非通知着信。
また。
怖い。出たら負ける気がする。出なければ、相手は別の手を使う気がする。どちらも怖い。怖いからこそ、私は順番を作る。
さやにチャット。
「今、着信。出ないでいい?」
さやの返事は短い。
「出ない。でも、こちらから一つだけ“線”を出す。あなたの言葉で」
私の言葉で。
私は、ふと思った。私は声が出ない。でも、言葉は出る。言葉で線を引くなら、今だ。
私は、相手のアカに短く送った。
「脅しには応じません。個人情報の拡散はやめてください。必要な記録は残します。これ以上の連絡は控えてください」
送った瞬間、心臓が跳ねた。攻撃じゃない。線引き。私の生活を守るための線。
数分後、返事は来なかった。代わりに、ユズからDMが来た。
「あなた、怖がりのふりして、全部仕切ってるよね」
怖がりのふり。
私は笑いそうになって、笑えなかった。怖がりはふりじゃない。私の骨格だ。そこに“仕切ってる”が乗ると、急に悪者になる。
私はミレイに言った。声は小さい。でも出した。
「……怖い。けど、やる」
ミレイが目を丸くして、笑った。
「今の、声出たじゃん」
「出た……?」
「うん。小さいけど。ちゃんと。――ありがとうって言ってくれたら、もっと出るよ」
私は喉が詰まって、でも言った。
「……ありがとう」
震えた。小さかった。だけど、確かに音になった。
さやがチャットで返す。
「それで十分。声が小さくても届く。あなたは今、証明した」
証明。
私は、胸の奥が少しだけ軽くなるのを感じた。最前列じゃなくても。声が小さくても。届く。
私たちは現場の準備をした。
耳栓。水。飴。モバイルバッテリー。メモ帳。推し色リボン。
チェックリストを一つずつ潰す。潰すたびに、怖さが薄れる。
夜。
榊さんから短い通知が来た。
「明日、開場遅延の可能性。列が荒れたら、離れて。騒がないで」
開場遅延。
嫌な予感が胸を締めた。列が荒れると、音が増える。怒りが増える。燃料が増える。
そして、朝の通知が来た。
「会場:開場遅延」
私は耳栓を握りしめた。
答え合わせが、始まる。
「最前列に立てない私が、推し活戦線の司令塔になった理由――当落・遠征・炎上の全部を『好き』に変えるまで」
※本作品はAI生成本文を含みます
作者紹介

ヒトカケラ。
好きを少しずつ詰め込んだお話を、AIにも手伝ってもらいながら書いてるので、読んでもらえるとうれしいです。
公式サイト:https://hitokakera.com/
作者X:https://x.com/hitokakeranovel









