
凍結まであと3分、私は推し色のバッグを抱えて走る――そしてDMが鳴る
「一時的に制限されています」
画面の文言が、仕事中の私に直撃した。昼休み直前。編集プロダクションの静かなフロアで、私だけが突然、呼吸を失う。
昨夜の引用連鎖。やっぱり燃えた。私は何もしていない、とは言えない。たった一文が火種になる世界だって、知ってる。言葉が仕事の私が、いちばん知ってるのに。
私はトイレの個室に逃げ込んだ。鍵をかけ、耳栓ケースを握る。耳栓をしても、心臓の音は消えない。スマホを開く。Murmurにログインできない。DMも見られない。通知の洪水の中で、私は一人、岸に打ち上げられた魚みたいにばたついた。
――どうする。
まず、事実を整理。次、被害をできるだけ小さく。次、連絡。
箇条書きが頭に浮かぶ。私は呼吸を数える。四秒吸って、四秒止めて、六秒吐く。いつもより長く吐く。少しだけ落ち着く。
別の連絡先。私は、昨夜、引用の中に見覚えのある推し色リボンの写真を見たことを思い出した。深い青緑。宵玻璃(よいは)の色。
スマホの検索欄に、推し色の絵文字を入れ、過去の反応を掘る。見つかった。ひとつの投稿。
「落選組、集まれ。落ち込むの、飽きた。とりあえずカフェ行こ」
投稿者名:ミレイ。
私は躊躇して、でも指が動いた。別SNSから、ミレイにメッセージを送る。
「制限されました。昨夜、同じDMが来たかもしれません」
送信後、手が震えた。初対面に助けを求めるのは、私にとって大事件だ。
十秒後、返信が来た。
「来た! 同じ文面。今、会える? 駅前のカフェ、窓際。推し色リボンつけてる」
私は立ち上がった。椅子が少し音を立てた。振り向かれそうで怖い。だから私は、音を殺して歩く。逃げるみたいに。
夕方、カフェの窓際。
推し色リボンのついた痛バッグが、テーブルに鎮座していた。持ち主は、ボブの髪を揺らして手を振る。明るい。まぶしい。眩しさが痛くないタイプの眩しさ。
「ひより? だよね? 私ミレイ! 会えた! 生きてた!」
「……ひよりです。生きて、ます」
「よし! 生存確認! じゃ、まず甘いの頼も。糖は正義」
私は笑いそうになって、喉の奥が詰まった。こういう人がいる。私の弱みが、ここでは弱みのままで許される。
ミレイはスマホを見せた。
「ほら。これ。『あなた、邪魔。動くな。』 同じだよね?」
「……同じです」
「ね。これ、同担狙い撃ちしてるよ。推し色リボンの写真とか、わざと拾ってさ」
私は言葉を探した。探している間にも、世界は進む。
そのとき、スマホが震えた。
TuneLiveの通知。
「宵玻璃:緊急配信 21:00」
ミレイが目を丸くする。
「え、今日に限って!?」
私は耳栓ケースを握りしめた。
緊急配信。
推しの声が、今夜、世界に出る。
そして、私の画面の隅で、見知らぬ通知がもう一つ点滅した。
――DMが、復活している。
「最前列に立てない私が、推し活戦線の司令塔になった理由――当落・遠征・炎上の全部を『好き』に変えるまで」
※本作品はAI生成本文を含みます
作者紹介

ヒトカケラ。
好きを少しずつ詰め込んだお話を、AIにも手伝ってもらいながら書いてるので、読んでもらえるとうれしいです。
公式サイト:https://hitokakera.com/
作者X:https://x.com/hitokakeranovel










