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「推さ日記」第6回『推し(#ババババンビ)が武道館いくので死ねなくなった』

現実は小説より奇なり

 様々なメディアで語られ尽くされているとは思いますが、この#ババババンビがこれまで「日本一不幸なアイドル」と呼ばれていた所以(ゆえん)からあらためて書いていきたいと思います。

 #ババババンビのデビューは2020年3月。当時のメンバーは池田メルダ、岸みゆ、小鳥遊るい、水湊みお、吉沢朱音(五十音順)の5名。グループ名は「馬馬馬子鹿」と書き、楽曲『ばばばばんびずむ〜』の歌詞にある「♪嫌なことや難しいこともあるけれども 今だけは馬鹿みたいにエンジョイレリゴー!」のとおり、“この世の中嫌なことも難しいこともたくさんあるけどこの瞬間だけは馬鹿みたいに楽しもう”というコンセプトを持っています。

 2020年ですよ。つい先日のように感じてしまいますが、まさに世間は未知のウィルスの蔓延に恐れおののき、東京都庁は東京アラートで赤くライトアップされ、しおにくが都知事選出馬を決意した、そんなご時世。緊急事態宣言いつ出るの? 牛肉券ってなにそれおいしいの? ワクチンはいつできるの? ライブをしていいの? いけないの?
 ……思い出しましたか。街から人影が消えたあの頃です。

 錯綜する情報と錯乱する情緒の中、あえなく#ババババンビのデビューライブは中止。その後開催された初めてのライブは配信オンリー。野外ライブで豪雨に見舞われ出番直前に中止になることも多々あり……。
 様々な障壁に行く手を阻まれたゆえに「日本一不幸なアイドル」と呼ばれることに。

 事実は小説より奇なりとはよく言ったもので、小説内の劇中アイドルに試練を与えるにしたって、スタートラインから動かさないなんて読者が離れますよ!
 ライブアイドルとは「会える」というのがここ20年(!)のトレンドだったというのに、家から出られずに会うこと罷らずとは、此は如何に。

 否、手を伸ばしても届かないからこそ、月とアイドルはいっそう輝いて見えるもの。往年のアイドルも「♪会えない時間が愛育てるのさ目をつぶれば君がいる(引用:『よろしく哀愁』郷ひろみ)」と歌っているではあーりませんか。

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