
応援広告って、こんなに難しいの?――推しの誕生日まで残り20日
「見えた?」
DMの一言は、針みたいだった。私は返信しない。しないと決めた。反応は燃料。さやが何度も言った言葉。
代わりに、私はスクショを保存した。保存して、閉じた。閉じても、頭の中で文が残る。音が残る。私は耳栓を押さえた。
翌日。昨夜の余韻がまだ残る朝、私たちはオンラインで集まった。通話ではなく、文字。静かに進む会議。
「誕生日、どうする?」
ミレイがいきなり切り出した。
「休止とか関係なく、宵玻璃(よいは)の誕生日は来る。来るなら、何かやりたい」
私はメモ帳を開いた。校正の仕事で身についた癖だ。事実と感情を分けて書くと、判断を外さない。誕生日まで残り20日。短い。短すぎる。
「応援広告……って、できるのかな」
打った瞬間、自分で怖くなった。広告。お金。許諾。ルール。全部が重い。
さやがすぐ返す。
「できる。でも、条件が厳しい。締切も早い。まずは情報を切る」
「情報を切る?」
「必要な情報だけ。会場の規約、掲出媒体の条件、公式の許諾。順番」
順番。私は順番が好きだ。順番は、私を守る。
ミレイが勢いよく打つ。
「デザインは任せて! 推し色の海みたいにする!」
「海……」
「深い青緑の海! ガラス片が浮いてる感じ!」
私は、宵玻璃のアクセを思い出した。ガラス片。確かに似合う。
さやが冷静に止める。
「まず許諾。勝手に名前やロゴを使わない。写真も使わない。表現は抽象で」
私はノートに書いた。
・写真なし
・ロゴなし
・本人の顔やイラストなし
・抽象表現のみ
・文言は短い
その時点で、もう難しい。でも、難しいからこそ、私の強みが生きる。言葉。整える。伝える。
私たちは、候補を出した。
・「今日も、宵の端っこで。」
・「無理しないで。ちゃんと帰って。」
・「最前列じゃなくても、届く」
最後の一文は、私が書いた。書いた瞬間、胸が熱くなった。私の弱みを、肯定する言葉だ。
さやが反応する。
「いい。短くて、攻撃性がない。境界線も守れる」
その矢先だった。
掲出媒体の条件を見たさやが、短く言った。
「無理かもしれない」
「……え」
「締切が、明後日。しかも公式許諾が必要。今の状況だと、間に合わない」
ミレイが一瞬、黙った。
「……じゃ、意味なくない?」
「意味はある。でも、形を変える」
さやの文面は冷静だ。冷静すぎて、痛い。
私は、指先を見つめた。落ち込むと、言葉が消える。私はそれでも打った。
「広告じゃなくて、手紙にする」
「手紙?」
ミレイが返す。
「宵玻璃に、直接届く形。1冊だけ。本人宛。応援広告みたいに“見せる”じゃなくて、“渡す”」
さやがすぐ肯定した。
「それなら、線が守れる。公式の窓口を通す。個人へ配らない。拡散もしない」
私は短く息を吐いた。計画は折れる。でも、折れた場所から別の形が生える。それが、運用。
その瞬間、LetterBoxのフォーム通知が来た。
「新規投稿:1件」
ミレイが打つ。
「今、募集してないのに?」
私は嫌な予感を抱いた。胸の奥が冷える。耳鳴りが戻る。
フォームを開くと、そこには一行だけ書かれていた。
「休止は契約。知らないなら黙ってろ」
私は画面を閉じ、以降は通知を見ない設定にした。反応しないのも境界線だ。
言葉が、いちばん刺さる。
「最前列に立てない私が、推し活戦線の司令塔になった理由――当落・遠征・炎上の全部を『好き』に変えるまで」
※本作品はAI生成本文を含みます
作者紹介

ヒトカケラ。
好きを少しずつ詰め込んだお話を、AIにも手伝ってもらいながら書いてるので、読んでもらえるとうれしいです。
公式サイト:https://hitokakera.com/
作者X:https://x.com/hitokakeranovel










