連載

【推しノベル】「最前列じゃなくても」第14話

手作りの冊子に未来を詰める――印刷所の締切は容赦しない

締切は容赦しない。
 推しの声が優しくても、締切は優しくない。私はノートを開き、タスクを殴るみたいに書いた。

・冊子の構成(章立て)
・募集文の固定
・投稿の選別(NG基準適用)
・文章の整形(表記統一)
・デザインテンプレ決定
・入稿データ化
・納品先(本人宛)の確認

 ミレイがチャットで叫ぶ。
「デザイン、今からテンプレ作る! 推し色の海、やっぱやりたい!」
 さやが止める。
「海はいい。でも抽象。ガラス片モチーフ。写真なし。ロゴなし。文字の可読性優先」
「はいはーい。可読性の神、さやさん」

 私は、文章を集める。
「救われた瞬間」
それは、言葉の結晶だ。短いものほど強い。強いものほど、守らなきゃいけない。

 投稿が増える。
「帰って、って言われると泣く」
「宵の端っこで、って挨拶が好き」
「音が怖い日に、声が静かで助かった」
 私はそれを、ひとつずつ整える。固有名詞や個人情報を削り、主語をぼかし、攻撃を消す。
 仕事と同じ。違うのは、これが私の“好き”でできていること。

 深夜。
 ミレイから突然、短いメッセージが来た。
「ね、ひより。私、役に立ってる?」
 私は手が止まった。ミレイはいつも強い。強いふりじゃなく、強く見える人だと思っていた。

 私は正直に打った。
「立ってる。ミレイがいなかったら、私は駅に行けてない」
「……ほんと?」
「ほんと。ミレイの“明るさ”は運用。空気を壊さない盾」
 少し間が空いて、ミレイが返した。
「泣くわ。今泣く。明日直す」

 泣く。直す。
 その二語が、私たちの作戦みたいだ。壊れても直す。弱みを、強みに変える。

 朝。
 印刷所から自動返信が来た。
「写真/引用/ロゴ等、権利関係に抵触する可能性のある素材は不可」
 想定内。だけど、現実の文字は重い。私の胸がぎゅっとなる。

 さやが言う。
「画像を捨てよう。言葉だけで勝つ」
 ミレイが一瞬、黙ってから打った。
「……言葉だけで、映える?」
 私は返す。
「映えるじゃなくて、届く。届けば、それで勝ち」
 ミレイが、スタンプで拳を送ってきた。

 私は構成を決めた。
1) 玻璃民(はりたみ)からの一言(引用ではなく、言い回しを借りない。ファンの言葉で始める)
2) “救われた瞬間”短文集(50〜100字)
3) “続ける”への手紙(10行程度)
4) 最後に、匿名の署名「玻璃民より」

 匿名。署名。個人情報を守る。全員が主役で、全員が安全でいられる形。

 そのとき、ユズの投稿がまた流れた。
「変な企画、やめましょうね。推しの足を引っ張りますよ」

 私は画面を閉じ、以降は通知を見ない設定にした。反応しないのも境界線だ。今は燃料にならない。見ない。聞かない。作る。

 締切まで、あと30時間。
 私たちは、眠らないわけじゃない。眠る時間を切り分けて、走る。

 私のスマホが震えた。
「会社、バレても知らないよ」
 知らないアカウントからのDMだった。

 胃が冷える。
 でも私は、画面を閉じた。
 言葉だけで勝つ。運用で守る。

 締切は容赦しない。
 でも、私たちも容赦しない。

「最前列に立てない私が、推し活戦線の司令塔になった理由――当落・遠征・炎上の全部を『好き』に変えるまで」

※本作品はAI生成本文を含みます

作者紹介

ヒトカケラ。

好きを少しずつ詰め込んだお話を、AIにも手伝ってもらいながら書いてるので、読んでもらえるとうれしいです。

公式サイト:https://hitokakera.com/
作者X:https://x.com/hitokakeranovel

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